パーソナルスペースという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
私たちが無意識で自分のスペースだと思っている空間(物理的距離)のことです。
心の縄張り、心のテリトリーとも言います。
私たちの心は、尊敬する人がこの空間(パーソナルスペース)に入ってきたら嬉しくなりますし、赤の他人が入ってきたら不快に感じます。
恋愛においてもパーソナルスペースの扱い方は非常に重要なポイントで、相手のパーソナルスペースにうまく入ることができれば心の距離がグッと縮まります。
この記事では、パーソナルスペースを使った恋愛心理テクニックをご紹介します。
パーソナルスペースは無意識に感じているもの
この写真を見てどう思いますか?
2人の女性が、真ん中の男性のことを気に入っているように見えますね。
男性はまんざらでもないように見えますし、少し戸惑っているようにも見えます。
どうしてそのように見えるのでしょうか?
それは2人の女性が男性との距離を詰めているように見えるからです。
胸が当たりそうなくらい男性に近づいて、肩には手を置ていますね。
私たちは無意識のうちに、人と人との物理的な距離を見て、その人たちの関係性を感じ取っています。
非常に近ければ「親しい仲なのだろう」と感じ、遠ければ「他人なんだろう」と判断します。
この距離のことをパーソナルスペースと言います。
写真の2人の女性たちは男性のパーソナルスペースの中に完全に入っていますね。
でも恋人のようには見えないので、どこかぎこちなさを感じます。
この人たちの関係性はどうでしょうか?
ドレスで着飾って華やかに見えますが、パーソナルスペースを広く取っているので実はお互いによそよそしくしているように感じますね。
ご近所の奥さん仲間という程度の付き合いかもしれません。
この写真を見てそんなことを感じるのも、私たちが無意識にパーソナルスペースを感じ取っているからです。
電車ではできるだけ他人と離れた位置に座りますね。
男性のトイレでも、隣の人とはできるだけ離れた場所を選んで用を足します。
本来、電車の座席に座るという目的のためだけなら、どこに座ってもいいはずです。
しかし「他の人からできるだけ距離を置きたい」「次の駅で誰かが隣に座ってきたら嫌だ」と考えて、できるだけ一番端の席を選ぶ人が多いんですね。
自分の縄張りにむやみに他人を侵入させたくないんです。
みんな無意識ですが、積極的に自分のパーソナルスペースを確保しているんですね。
パーソナルスペースの大きさは相手との関係性で決まる
私たちは他人とコミュニケーションをとるときに、パーソナルスペースをどのくらい取るかによって相手との関係性を測っています。
心理学者リン・カーン・ケーゲル(Lynn Kern Koegel)が、パーソナルスペースと男女の好感度を関係性を調べた実験があります。
まず被験者の男性1人と女性2人に自由に会話をしてもらいました。
女性の1人は男性から50cm離れた位置に立ち、もう1人の女性は男性から200cm離れた位置に立ち、その状態で3人で会話をしたのです。
会話が終わった後、それぞれの女性に対する男性の好感度を調べました。
すると、50cmの位置に立っていた女性の方が好感度が高いことが分かったのです。また50cmの位置にいた女性も200cmの位置にいた女性より男性に対して好感度が高いことが示されました。
つまり、相手から遠い場所にいて話すよりも、近い場所にいて話した方が好感度が高くなるのです。
米国の文化人類学者エドワード・ホールはパーソナルスペースを4つの分類に分けて解説しています。
①45cm以内
恋人や家族など特別に親しい間柄の距離
カップルが手を繋いだり、親が子供の手を取って歩いていれば、パーソナルスペースは0cmです。
結婚相手であれば15cm以内。すぐにキスができる距離ですね。
一緒に歩いていると腕が触れ合うくらいの距離です。
②45~120cm
友人や知人など親しい間柄の距離
友達どうしで歩いている時はだいたい50cmくらい離れます。
手を伸ばせば相手に触れる距離です。握手はすぐにできますが、キスはできませんね。
③120~350cm
クラスメートや同僚などの距離
職場の同僚であれば1m以上は離れます。相手の体に触れることは出来ません。
打ち合わせで机を挟んで話し合う時がちょうどこれくらい。一番リラックスして話せます。
手を伸ばしても体に触れない距離ですね。
④350cm
社会的地位のある人との距離
大学の先生が教壇に立って授業をしたり、講演会などで舞台の上から聴衆にスピーチをする時の距離です。
関係性が明確に分かれていて、友達になろうという雰囲気にはなれませんね。
- この2人は、クラスメートや職場の同僚くらいの距離感ですね。初対面だとこのくらいです。
相手が社会的地位の非常に高い人であればもっと離れます。
引用元:日経新聞
たとえば、天皇陛下であれば10m以上は離れるのが普通ではないでしょうか。
総理大臣であっても陛下に対しては5m以上は離れて立ちます。大臣の任命式や国会の開会式(写真)ではもっと距離を空けていますね。
我々一般国民は畏れ多くて近づけませんし、個人的に会話をするとか仲良くなるなんてとんでもないことですよね。
ですから、被災地域などに天皇陛下が訪問されて被災者にお声をかけられると、被災者は恐縮していますよね。
話せるレベルの相手ではないのに、まさか自分に話しかけて下さったことに驚き、感激と恐縮の入り混じった感情になるわけです。
このように相手との関係性によってパーソナルスペースの大きさが決まります。
美人はみんなから距離を置かれる!?
面白い実験があります。
街角に美人な女性を立たせて、その前を通り過ぎている人々がどのくらい距離を開けて通り過ぎていくのかを観察しました。
すると、通り過ぎていく人々は、容姿が普通の人が立っているときよりも、美人が立っている時の方が距離を大きく開けて避けていったのです。
この理由は明らかになっていませんが、「気が引ける」という心理が働いている可能性があります。
有名人や社会的地位の高い人が目の前に来た時に、思わずパーソナルスペースを広めにとってしまうのと同じで、
私たちは美人に対しても無意識にある種の社会的地位を感じ取っている可能性があります。
パーソナルスペースの大きさには個人差があります
ここまでのお話で一点だけ注意して頂きたいのは、
実は人によってパーソナルスペースの大きさはかなり違うということです。
エドワード・ホールの分類はあくまでも一般的な基準であって、実際には個人差が大きいものです。
年齢、性別、文化、性格などさまざまな要素がからんで、個人差が生まれます。
パーソナルスペースが広い人の性格・特徴
パーソナルスベースが広い人は、人見知りな性格の人が多いです。
パーソナルスベースが広いということは、できるだけ他人と距離を取りたい心理の裏返し。
他人との間に心の壁を作りがちな人です。
単独行動が好き、一人の時間を大切にしたい、マイペース、自分のことを語りたがらない、自分の物を人に触られたくない、束縛が嫌い、喧嘩っ早い、他人の目を気にする、心配性、せっかち、競争心が強い、
こんな性格の人もパーソナルスベースが広い人には多いです。
また、男性は女性よりも広いです。
思春期以降の若い人は老齢の人に比べるとパーソナルスベースが広いです。
日本人も外国人に比べると広いです。
日本で行われた研究によると、異性に対してパーソナルスペースが最大になるのは中学2年生。
中2病という言葉もありますが、一番異性を意識して距離を置きたくなる年齢なんですね。
しかし、アメリカではこのような傾向がまったく見られなかったことから、文化的な背景があると考えられています。
パーソナルスペースが狭い人の性格・特徴
パーソナルスベースが狭い人は社交的な人に多いです。
スッと相手に近づいて、心の距離を縮められるような人ですね。
親切で優しい、物事の判断を自分で決められない人、みんなとワイワイするのが好き、食事は誰かと一緒にしたい、開けっぴろげに何でも話す、人に物をあげるのが好き、連絡はマメにしてほしい、
こんな性格の人はパーソナルスベースが小さいです。
女性の方が男性よりもパーソナルスペースは狭く、欧米人は日本人よりも狭いです。
幼い子供たちもパーソナルスペースは狭いです。18歳以下では年齢が低くなればなるほど狭くなります。仲良くなるとすぐにひっついたりしますよね(笑)
私の個人的な経験から言うと、看護師さん、介護士さん、保母さんはパーソナルスペースが非常に狭い人が多いですね。
日常的にスキンシップの多い仕事をしているので、他人と肉体的な接触することに抵抗感がないためだと思います。
兄弟や家族の多い人も、その傾向があるように感じますね。
女性は排卵日にパーソナルスペースが狭くなる
アメリカの心理学者サンダースによると、
女性は排卵日にパーソナルスペースが狭くなり、男性に接近しやすくなると言います。
子孫を残すための本能もパーソナルスペースの大きさに影響するんですね。
また女性は、女性に対してよりも男性に対してパーソナルスペースを広めにとります。
これは男性よりも体力的に劣っている女性の防衛本能が働いているためだと言われています。
女性どうしで手を繋いだり、ひっつき合ったりすることがありますよね。
でも男性には恋人でない限りしません。
これらの傾向は動物でも同様に観察されています。
パーソナルスペースに飛び込んで好きな人との心の距離を近づけよう
「パーソナルスペース=心の距離」
これまでの話を読んで「じゃあ、好きな人ができたらすぐにその人のパーソナルスペースに入れば落とせるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、
いきなりそれをやったらたぶん嫌われて関係が壊れます。
親しくない相手にパーソナルスペースに飛び込まれると、めちゃくちゃ不快に感じるんですよね。
満員のエレベーターやイベント会場などで混雑した人混みの中にいると、言いようのない圧迫感を感じますよね。
ストレスを感じてイライラしたり、早くここから抜け出したいと思ったり。
そのような不快感を感じる理由は、自分のパーソナルスペースにまったく知らない他人が入り込んできているためです。
不用意に人のパーソナルスペースに侵入してしまうと、自分の好感度を下げてしまうことがあるんです。
では、どうやって恋愛に応用すればいいのか?
まずは、好きな人と並んで歩いたり、店に入って座ったり、普通に会話しているときの距離を目測してください。
相手があなたに対して自然に取る距離がだいたいどのくらいなのかを確認しましょう。
その距離が45cm以内ならあとは押すだけ。
相手はあなたに対して高い好意を持っています。
(ただし、誰に対してもやたらパーソナルスペースが狭い人もたまにいるので勘違いしないように注意してください)
50cm~1mくらいなら、まだ友達ですね。
この場合は、一歩踏み込んで相手のパーソナルスペースに飛び込んでみましょう。
相手が拒絶しなければ心の距離がグッと縮まります。急に親しくなった感じがするはずです。
ここから友達以上恋人未満の関係に発展していけます。
1m以上離れていたら、今は焦らずもっと親しくなるように頑張った方がいいですね。
勇気を持ってパーソナルスペースに飛び込んでも不快に思われる可能性が高いです。
初対面や初めてのデートでは普通はパーソナルスペースが広いです。
特に女性は、まだ交際していない好意をよせる男性に対して、あえてパーソナルスペースを広めるに取ることがあります。
好意はあるので近づきたいのですが、近づきすぎて嫌われたくないとも思っているからです。
最初は会話から徐々に心の距離を詰めて、楽しく盛り上がることができたら、スッと相手のパーソナルスペースに飛び込んで様子を見てみましょう。
嫌がる様子が見られなければ、さらに深い仲になれる脈ありです。
逆に、あなたが相手のパーソナルスペースに飛び込んだときに、相手がすぐに距離をとろうとしたり、体をそらしたり、空気が悪くなってしまったりしたら、あなたからすぐに離れてまた会話を頑張りましょう。
今回は焦らず、次のデートに繋げれるように好印象を残す努力するのが一番良いです。
パーソナルスペースの入り方
パーソナルスペースに飛び込む際に注意すべきことは「体の位置」
男女でパーソナルスペースの大きさも形も違うので、好きな人のパーソナルスペースは自分と同じだと考えると失敗します。
女性の場合、パーソナルスペースは正面と背後が広くなっています。横はものすごく狭いです。
そのため、パーソナルスペースに入っていくのは横から行きましょう。
正面から入ろうとすると拒絶されます。後ろもビックリされることが多いです。
成功率の高いナンパ師は、必ず真横から女性に声をかけます。正面や後ろは避けていますね。
ホストやキャバ嬢の場合はテーブルに着くとお客さんの横に座るので、自然にパーソナルスペースに飛び込んでいけるわけです。
男性の場合、パーソナルスペースは視界に入る正面と斜め前が広く、視界に入らない後ろがめちゃくちゃ狭いです。
なので、斜め後ろから飛び込むと嫌がられません。
恋人同士なら斜め後ろから腕を組んだりするとすんなり近づけます。
食事をするときには、できればカウンター席がおすすめです。
隣どうしで座ればパーソナルスペースを自然に詰められますし、拒絶感も出にくいです。
相手の顔が見えないことで、無意識のストレスも感じなくなります。(詳しくは暗闇の恋愛心理の後半で)
飲食店ではテーブルに正面で向かい合って座る場合がほとんどだと思いますが、
心理学的には相手との心の距離が離れやすくなる位置取りなので、あまりおすすめできませんね。
グラステクニック
グラステクニックをご存知でしょうか?
異性と一緒に食事をしているときに、脈ありか脈なしかを見極める心理テクニックです。
食事をするとテーブルの上にはグラスが置かれていますよね。
中身は水でもジュースでもお酒でも構いません。
あなたとお相手の2つのグラスが置かれた距離は、なんとパーソナルスペースと同じような意味を持っています。
自分が口をつけて飲んだグラスは自分の分身のようなものなので、グラスでも相手との距離を取っているんです。
人は所有物に対してもパーソナルスペースを感じています。
これはかなり無意識の感覚で、ほとんどの人はまったく自覚がありません。
この無意識の感覚を有効活用しようというのがグラステクニックです。
あなたのグラスを少しだけ相手のグラスに近づけてみましょう。
そして相手がグラスを手に取って飲んだ後、どこに置くかを注目してください。
もし置かれた場所が、再びあなたのグラスのすぐそばであれば、相手はあなたに親近感を持ち始めています。脈ありですね。
しかしあなたのグラスよりも離れた場所に置いたら、脈なしです。
もうちょっと相手に気に入られるように頑張った方が良いかもしれません。
相手に飛び込ませるのが理想的
パーソナルスペースを縮めるのに一番良い方法は、自分から飛び込むのでなく、相手に飛び込ませることです。
スマホを見ながら「ねえねえ。これ見て。」と情報や写真を見せるフリをして、相手を自分に近づけさせます。
主体的に近づいてくれるので不快感を与えることはありませんし、心も開きやすくなります。
ひとつのスマホや本を2人で見ているときに「なんかドキドキした」という経験がある人も多いのではないでしょうか?
サッカーの試合前などに隣の人と肩を組んで円陣を作ると一体感が高まるのも、同じ心理です。
落とした物を拾って手渡ししてもらったり、相手から物を借りたり貸すのも効果的ですね。
まとめ パーソナルスペースを使った恋愛心理テクニック
パーソナルスペースはうまく使えば、相手にドキドキ感を与え、一気に親しくなることができます。
しかし、使い方を間違えれば拒絶されてしまうこともあります。
まずは、相手のパーソナルスペースの距離を知ること。
それから相手に嫌がられない位置から飛び込んでみること。
パーソナルスペースに侵入しても嫌がられなかったらもっと親密になれますし、嫌がられればスッと身を引きましょう。
相手から飛び込んできてくれたら、もっと積極的になってみましょう。
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