「好きな人に期待されるとやる気が出てくる」
あなたもこんな気持ちになった経験がありませんか?
これはピグマリオン効果と呼ばれていて、恋愛や職場など様々な場面で使える心理テクニックです。
この記事では、
ピグマリオン効果とは何なのか?恋愛や仕事ではどう活かせば良いのか?などについて具体的に解説します。
ピグマリオン効果とは
ピグマリオン効果は、教師期待効果、ローゼンタール効果とも呼ばれています。
アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールが提唱した説で、以下のような実験を行った結果、示されたものです。
ローゼンタールは小学校で子供たちに知能テストを行いました。そのテストの名前は「ハーバード式突発性学習能力予測テスト」。仰々しい名前ですね(笑) 実はこのテストはそんな立派な物でも何でもなく、内容に特別な意味はありません。
その事実を隠して、教師には「今後、数か月間に成績が伸びていく子供を割り出すためのテスト」だと嘘の説明をしました。
テスト終了後、テスト結果とは何も関係なく無作為に子供たちをピックアップして名簿に名前を書き、教師に対して「この名簿に記載されている子たちは成績が伸びますよ」と伝えました。
教師は名簿の子供たちが成績が伸びるのだと信じ、期待を込めて接していたところ、実際に子供たちの成績が伸びていったのです。
つまり「教師の期待を受けた子供は、それを感じ取っていつもより勉強し、その結果、成績が伸びた」と考えられます。
これがピグマリオン効果です。
名前の由来
ジャン・レオン・ジェローム作『ピグマリオンとガラテア』
ピグマリオン効果という不思議な名前の由来ですが、ギリシャ神話に登場するピグマリオンという彫刻家にちなんでネーミングされました。
ギリシャ神話にはこんな話があります。
「人間の女性に絶望したピグマリオンは自分で彫った理想の女性の彫像を本気で愛するようになりました。しかし所詮は彫像。どれだけ愛の言葉をかけても何の返事もありません。ピグマリオンは次第に心身が衰弱していきました。それを見ていた愛の女神アフロディーテが彫像に命を与え、本物の人間の女性となり、ピグマリオンと結婚し幸せに暮らしました。」
本気で相手に期待をしていると、期待が現実になるという寓話ですね。
ピグマリオン効果の使い方と具体例
ピグマリオン効果は、実生活の様々な場面で使えます。
成果を出したい時、誰かを成長させたい時、自分を成長させたい時、要求を通したい時などなど。
どのように使えばいいのか、具体例を紹介します。
期待の伝え方が重要なポイント
ピグマリオン効果をかけることに成功するかどうかの重要なポイントは「期待をどう伝えるか」です。
期待は言葉で伝えることもできますが、ノンバーバル行動(目線、表情、身振りなど)でも伝わります。
教師は本気で伸びると信じ込んでいるため、言葉だけでなく、目線や表情からも子供たちに期待を伝えていたと考えられます。
そのため期待をする側は、心の底から本気で期待を込めることが重要です。
上辺だけで期待をしているフリをする人はそれが表情や態度に表れます。心から言っていない、嘘だと相手にバレるのです。
相手のことを心から信じなければピグマリオン効果は発揮されません。
このことはローゼンタール教授も論文で指摘しており、
「期待をする子供と付き合いが2週間未満の教師の場合には91%の研究でピグマリオン効果が発現したが、2週間以上になると12%しか効果がなかった」としています。
つまり、子供たちとの付き合いが短い教師は子供たちの特性をまだ知らないので、「この子は伸びる」という言葉を心から信じることができましたが、
付き合いの長い教師は子供たちに対する印象がすでに出来上がってしまっているので、「この子は伸びる」と言われても元々のイメージを払拭できず、心の底から期待することができませんでした。
人を本気で信じられるか、信じられないか。
それが結果を大きく左右します。
職場でピグマリオン効果を利用して生産性を上げる
ハーバードのビジネススクールで教授をしていたJ・スターリング・リビングストンは「ピグマリオン・マネージメント」と名付けて、上司が部下にどう接するかで昇進や生産性が決まると言いました。
優れた上司は、部下が業績に貢献し目標を達成できると信じており部下にその期待感が伝わります。
無能な上司は、部下を見下し、仕事の遅れや失敗を責めるばかりで部下に期待感を感じさせません。
ゴーレム効果と言って、期待を感じない部下たちは目標を達成できないばかりか、成績が下がってしまうこともあります。
また、社員は自分が期待されていると感じたことしか行おうとしません。
どの職場でも「自発的に動けるようになれ」と言われてますが、「期待されていないことはしない」というのが人間の心理なので、期待されていると感じること以外のことを自発的にする人はほとんどいないのです。
これは経営者と従業員の根本的な心理の違いです。
経営者は自分であらゆる方向にアンテナを張り、無限にある選択肢の中から次に何をすべきか自分で考えますが、社員は決められたポジションで必要とされること以外はしません。
職場ではこのような心理が働いていることをまず知っておくことが大切です。
マネージメントをする立場の人は、社員や部下を信じ抜くことです。
彼らが必ず大きな成果を出してくれると本気で期待してください。
その気持ちは、普段の言葉、表情、態度に自然に表れます。人はそれを感じ取って期待に応えようと動いてくれます。
「あなたに期待しているよ」
こんな言葉でも悪くはありませんが、具体性がないため、言われた方は物足りません。聞き流されて終わるかもしれません。
「あなたは人が気づかないことに気づける能力が飛び抜けて高い。きっと私が気づいていない問題やチャンスもあなたならいち早く察知できるはずだ。何かあったらいつでも私に教えてくれ。」
繊細で気が利く人にこんな言葉をかけると、素晴らしい能力を発揮して生産性を上げる提案をしてくれるでしょう。
「あなたはタイピングが早いし、ミスも少ない。あなたに書類作成を頼んで本当に良かったよ。」
退屈な書類作成も、こんな一言をかけてもらえればモチベーションが上がります。もっと早く書類を仕上げてくれるようになるでしょう。
自分にピグマリオン効果をかけて自信をつける
ピグマリオン効果は自分自身にかけることもできます。
よく「自分を信じろ」と言われますが、これは自分にピグマリオン効果をかけることを意味します。
自分に強く期待している人と言えば、サッカー日本代表の本田圭佑選手ですね。
彼はサッカーがそれほど上手くなく足も遅かった学生時代から「自分ならできる」という自己暗示をかける天才でした。
努力すれば必ずできるようになると信じ込み、明けても暮れてもボールを蹴り続け、陸上部の友達に足が速くなるトレーニング方法を聞いて毎日練習するなど、努力の天才となって今の地位まで上り詰めたのです。
本田選手は「努力をすれば成功できる」という成功体験を何度も味わってきたので、自信を持って努力を続けます。
本田選手に限らず、オリンピックで金メダルを取るような人は、自分に絶対の自信を持っていますね。
それは幼少期からの成功体験の積み重ねによる自己暗示がかかっているためです。
自己暗示のかけ方ですが、お勧めの方法は2つあります。
1つ目は、家中に「自分ならやれる」「自分は努力できる」などの文字を紙に書いて貼りまくる方法。
自然に視界に入る位置に貼っておけば、いちいち読まなくても無意識で暗示をかけることができます。
毎日周りの人から「お前は出来る」と言われている状況を、疑似的に自分で作りましょう。
2つ目は、言葉を口に出して言うこと。
「私ならできる」「成功する」「I can do it」「success」と小さな声で構いませんので、口に出してブツブツ言ってください。
暇さえあれば毎日繰り返し言います。心を込めて言う必要はありません。ただひたすら口癖のように言えば良いです。
そうすると、脳内に神経ネットワークができあがり、本気でその言葉を信じ込めるようになります。
同じ言葉を繰り返し口に出して言っていると、脳がそう考える癖がつくようになります。
自分に自信が持てない人や、マイナス思考になりがちな人は、特にやってみる価値があります。
ネガティブな人の多くは、親からネガティブな言葉や期待されない態度を取られてばかりいた人が多いです。
言ってみれば、親によって深層心理にゴーレム効果を植え付けられてしまっているようなもの。
しかしこれは親に植え付けられたただの暗示であり、嘘です。
本当の自分ではなく、嘘に才能を制限されてしまっているだけです。
それを解決するには、親の暗示を解くために自分で暗示を入れ直せば良いのです。
紹介したような方法で自己暗示をかけてください。本来の自分に戻れます。
恋愛で活かす!!
恋愛においては、相手に改善して欲しいところなどをそれとなく伝えることで、大きな効果を生むことができます。
たとえば、いつも遅刻してくる彼氏がいたとします。
彼に対して普通はこう言ってしまうかもしれません。
彼氏は謝るものの、責められたことに対する反発心も同時に持ってしまいます。
「道が混んでてさ」という言葉は、「それ以上責めないでほしい」「こちらにも言い分はある」という自己防衛の気持ちから来ています。
これでは、彼氏に心から反省をしてもらうことはできません。次回もまた同じように遅刻するでしょう。
言い方を変えて、ピグマリオン効果を利用しましょう。
「寂しかった」という自分の気持ちを伝えることで、彼氏の心には「大切な人を傷つけてしまった」という罪悪感が生まれます。
人は罪悪感を感じることで、深く反省します。
さらに「信じていい?」という言葉で、彼氏に対する期待を込めています。また、疑問形にして問いかけたことで、彼氏に「今度はちゃんと来る」と自分から言わせました。
心理的には約束を守らせるのではなく、守ると誓わせた方が効果的です。
このように言い方ひとつで、相手の心理に大きな影響を与えて、行動を変えることができます。
頭ごなしに自分の不満をぶつけても、相手の行動を変えることはできません。
心理操作することを意識して、言葉を選びましょう。
アゲマンと呼ばれる女性たちは、このような心理操作の達人です。
旦那さんのやる気をうまく引き出して、良い方へ導いてあげることができる女性ですね。
ピグマリオン効果について、ご紹介しました。
この心理テクニックは紹介した例以外にも使える場面はたくさんあります。
人間の可能性を信じて本来の力を発揮させてあげましょう。
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