誰にでも、長所と短所があります。
長所しかない完璧な人間なんてどこにもいません。
短所はできるだけ隠しておきたいものですが、隠しきれるものでもありません。
では、短所を人に伝えなければならない場合に、どんなタイミングで伝えれば嫌われずに済むのでしょうか?
心理学的には「最初は長所をアピールし、後から短所を伝える」と良いとされています。
相手に自分のマイナス部分を受け入れやすくさせるローボール技法(ローボールテクニック)
心理学ではローボール技法と呼ばれている方法があります。
アメリカの心理学者チャルディーニがローボール技法の効果を検証しました。
チャルディーニは学生たちにこう言いました。
「明日の朝7時に研究室に来て、実験に協力してくれないか?」
学生たちは「朝7時!?ふざけんなよ」と心の中で思い、約70%の学生が断りました。承諾したのはわずか30%です。
チャルディーニは先ほどとは別の学生たちに対して、こう言いました。
「心理実験に参加して欲しいんだが、協力してくれないか?」
学生たちは「実験?いつものことか」と思って全員承諾しました。
するとチャルディーニは続けてこう言いました。
「では、明日の朝7時に研究室へ来てください」
学生たちは「朝7時!?マジかよ!!」と思いつつも、56%の学生が承諾したのです。
チャルディーニが学生たちに行った要求の内容は、最初のものも2番目のものも同じです。伝え方を変えただけです。
伝え方を変えただけで、学生の承諾した割合には約2倍の違いがあったのです。
この結果からチャルディーニはこう結論付けました。
「人間は自分の決定したことに対して、責任を取ろうとする」
一貫性の原理とも呼ばれています。
人間はこうしようと決めたら、その後に不愉快なことがあってもそれを受け入れようとする心理が働くのです。
この心理を応用したものがローボール技法です。
マーケティングでよく使われるローボールテクニック
飲食店
飲食店の広告などで「食べ放題+飲み放題で3000円!!」などと書いてあるのをよく見かけると思います。
実際にお店に足を運んでみたら、食べ放題飲み放題で選べるメニューは7種類ほどしかなくて、他の品を別で頼んだら結局4500円になってしまった…。というような経験をした人もいるかもしれません。
これは店側がローボール技法を使って集客したんですね。
洋服店
衣替えシーズンになると「50%値引きセール中!!明日まで!!」とお店の入り口で宣伝している服屋さんが多いですよね。
それに釣られて店に入ると、セールになっているのはほんの一部の商品だけで、ほとんどの商品はすでに新作になっていて値引きされていなかったということもあります。
あれって、ちょっと騙された感がありますよね(笑)
保険
保険の販売員は最初は「この保険に入っておくと安心ですよ」とメリットばかりを強調します。
その話を聞いて契約を決めると、書類を書き始める段階になって契約者に不利なケースの説明をしてきます。「ただしこの場合は保険が適用されません」というやつです。
すでに契約を決めてしまっていると、一貫性の原則の心理が働いて、断りづらくなってしまいます。
典型的なローボールテクニックですね。
結局、思っていたより保険金が下りなかったという不満はよく耳にします。
東日本大震災のときの地震保険のトラブルが非常に多かったことがニュースになりました。
勧誘
綺麗な女性が「アンケートにご協力して頂けませんか?」と街中で男性に声をかけていることがあります。
男性が「いいですよ」とその場でアンケートに答えようとすると、「では、あちらのカフェで少し質問をさせてください」と誘導されます。
男性は「え?ここじゃダメなの?時間がかかりそうだな…」と戸惑いますが、一度承諾してしまっているので、渋々女性についていきます。
そしてカフェに入ると、女性は早々にいなくなり、スーツの男性が2人出てきて、マルチ商法などの勧誘が始まりました…。
ローボールテクニックもここまで来ると、ほとんど詐欺ですね。
恋愛にローボールテクニックを応用する
ビジネスで使うとあまり良いイメージのないローボールテクニックですが、恋愛においてはどのように使えるのでしょうか?
例えば、婚活パーティーや結婚相談所で自己PRをするとき。
最初に経歴など自分の履歴書のようなものを書いて異性に渡しますよね。
ここにはマイナスに取られるようなことはひとつも書いてはいけません。自分の良さをアピールできるものだけを書きます。
相手に良い印象だけを与え、正式にお付き合いするところまで行ったら、少しずつマイナスポイントを開示していきましょう。
経歴、年収、家柄、ちょっと変わった趣味や性癖など、いろいろと隠してきたことがあるはずです。
付き合ってしまえば「ちょっとくらいの短所は誰にでもあるから」と相手は受け入れやすくなります。
付き合う前に伝えてしまうと「それは後々面倒なことになりそうだから嫌だな…」と感じて、断られてしまうのです。
今日こそは体の関係まで発展させたいと思った時にもローボール技法は使えます。
例えば、会う約束をする時に「今度の日曜日、一緒に食事に行かない?」と言います。何度かデートをしたことのある相手であれば「いいよ」と簡単に応じてくれるでしょう。
承諾を得てから「じゃあ、20時に〇〇で待ち合わせね」と言います。相手は時間までは考えていなかったので戸惑うかもしれませんが、すでに行くと言ってしまっているのでちょっと遅い時間でも承諾してくれる可能性が高いです。
そして夕食を食べたり、お酒を飲んだりしていれば、終電近くになります。時間的にホテルや自分の部屋に誘いやすくなりますよね。
ローボールテクニックはこのようにソフトな使い方なら相手も騙された気にはなりませんし、良い人間関係を築くために非常に役立ちます。
自分がローボール技法にハマらないように気をつけることも大切です。
例えば、結婚詐欺師はローボール技法を巧みに使います。
異性を惚れさせるまでは素晴らしいところばかりを見せつけ、結婚の約束までし、お金などを取れるだけ取ります。
取れるものがなくなった後は、パートナーに自分の酷いところばかりを見せつけて、別れたいと思わせるように持っていきます。
実際に結婚詐欺を行っていた男性の話では、女性に嫌われるために寝小便をするどころか寝糞までするそうです。これでもかというほど嫌なところを見せつけて自分を嫌いにさせて合法的に破談に持っていくのです。
結婚詐欺師のように最初から良いところばかり見せてくる人はサイコパス(異常心理者)にも多く、最終的に酷い裏切りを行うので注意してください。
普通の人間ならば、無意識のうちに弱みも見せてしまうものです。
相手が完璧な人に見えたらそれは白馬に乗った王子様ではなく危険人物かもしれません。
既婚者ということを隠して女遊びをする男性も多いですね。付き合ってから本当のことを言い出す手口です。
典型的なのは、ベッキーさんを騙して不倫し世間の話題になった某下衆ミュージシャンや、清水富美加さんを騙して不倫した某虫ミュージシャン。
彼らはローボールテクニックで彼女たちを騙していました。
その他、暴力を振るうDV男や、付き合ったら何度も浮気を繰り返す人、金使いの荒い人など。
ローボールテクニックを悪用する人は、男女を問わずたくさんいます。
最初は深刻な問題がある人だとは分かりませんが、後々になってから気づくものです。
自分が選んだ人だからと言って寛容にならず、キッパリと縁を切ってしまうことも時には大切です。
ローボールテクニックは詐欺師や不倫男の常套手段になってしまっていますが、本来はそういう人には教えたくない心理操作術です。
私が本当にローボールテクニックを使ってほしいのは、馬鹿正直に何でも言ってしまう人や、ネガティブで短所ばかり最初からアピールしてしまうような不器用な人です。
この記事を読んだ方には、純愛を実らせるために使って頂きたいなと願います。
私を騙したのねっ!!!
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